中国では大ブレークのスマホ決済は日本でも流行るのか?
中国では屋台のような小さいお店でもスマホを使って決済できるキャッシュレス化が急速に普及しています。現金で支払いしているのはスマホを使いこなせない老人か海外からの旅行者ぐらい。財布を持っていなくてもスマホがあれば日常生活には全く困らない状況となっています。アップルペイのニュースがありましたが日本ではどれぐらいの人が利用しているのでしょうか?
中国IT企業大手のアリババ社では2004年にスタートした「支付宝(アリペイ)」、テンセント社は2011年にスタートした「微信支付(ウィーチャットペイメント)」というモバイル決済サービスを展開していますが中国国内の利用者数は5億185万人で取引規模は2017年は10兆元(日本円で約160兆円)、2018年には18兆元(日本円で約288兆円)になると予測している人もいます。
中国ではこの決済サービスに加入していないと大げさに言うと生活できないぐらい浸透しています。簡単に流れを解説すると露店などでもアリペイ、ウィーチャットペイメントのQRコードが表示されていてアプリを立ち上げてスマホをかざして読み込むだけで事前に紐づけした銀行口座からチャージしておいたお金がアリババかテンセントを経由してお店に代金が支払われる仕組みです。
小規模な店舗では設置が大変だったクレジットカードを読み込む端末が不要なので店側の負担も軽減され導入が加速しました。今や現金で払おうとすると逆に嫌がられる店もあるぐらいです。
利用手数料は無料でそれこそ電気などの公共料金、タクシー、シェア自転車、コンビニ、露店などでほぼ全てで利用することができます。更には最近は子供へのお小遣いやお年玉までもアリペイで渡したりしているらしいです。スマホの電話番号を入力すれば相手に振り込みのように送金することができます。飲み会での割り勘も簡単で金額を入力すれば一緒にいた人達へ請求が届き承認すれば支払い完了となる機能もついています。日本ではこれに最も近いのはLINEペイでしょう。
日本でもアップルペイ、ドコモのdポイントカード、auのauウォレット、ソフトバンクのソフトバンクカードなど各キャリアで似たようなお財布携帯のようなサービスはあります。電子マネーも楽天のEdy、JR東日本のSuica、セブン&アイHDのnanaco、イオンのWAONなどなどありますがどれも中国のようには普及していません。利便性よりもスマホを紛失した場合のリスクの方が高いと思う人が多いことと現金を信用する国民性なのでしょう。また、日本では月額性の携帯代などの公共利用金の支払いについてはプリペイド式、デビットカードでは利用できないサービスが多いことがネックだと思います。
しかし、中国においてはクレジットカードの普及率が低いこともあり公共料金の支払いにも利用できて爆発的に普及しました。
中国でスマホ決済が進んだことには中国特有のバックグラウンドがあります
日本と異なり通信環境のインフラ整備は固定電話が普及するよりスマホが普及するスピードが速かったため、日本ではメジャーな決済方法ではない新たなテクノロジーでの金融サービスが利用者側、店側双方のメリットとなり新興国ならでは受け入れやすかったのでしょう。財布は無くてもスマホを持っていないとメシも食えなきゃ、タクシーに乗ることもできず大変便利なのか不便なのかスマホが無いと生きていけない現在の中国は私には判りかねる状況となっています。
キャッシュを使うことが少ない中国では銀行のATMはスマホを使いこなせない老人が行くだけで空いています。そう言えば数年前に中国では都会のシンセンに行った時のことです。スマホ決済ではないですが地下鉄駅で切符を買う時に体験したことです。券売機は数台ありますが多くの人が並んでいて混雑していました。ようやく私の番になって5元紙幣を投入しますが、何しろ機械が札を読み込まないのです。紙幣を変えて何回投入しても戻ってきます。私の後ろに並んでいた中国人のおばちゃんは「中国語」で明らかに私に文句を言っています。センサーの精度が悪いのかニセ札なのか?何度かトライしましたが一向に紙幣を飲み込んでくれません。これ以上やっても無駄に思い窓口で紙幣を1元硬貨に両替してもらってまた列に並び今度はようやく切符が買えました。何度か利用するならば現金で切符を購入するのではなくSuicaみたいな「深セン通」という交通系ICカードの購入をおすすめします。まじで券売機にはキレそうになりました。日本であれば200円の切符を買う場合に1万円札を入れても何の問題も無く切符とお釣り9,800円が出てきますが・・・とっても性能が悪いのかな?
ニセ札をつかまされる不安
日本では普段気にすることは無いですがニセ札がかなりの枚数流通していることが、間違いなく現金の信用度が低い原因の一つでしょう。当局は否定していますが銀行のATMから降ろしたお金にニセ札が混じっていたというニュースもありました。普通にデパートやスーパーなどにはニセ札を識別する機械が設置されていて、受け取った現金を店側はその機械に必ず通して確認します。
間違って受け取ってしまった場合に銀行や公安(日本でいう警察)へ届けても没収されるだけなのでババ抜きのように人から人へ手渡されてニセ札が流通していきます。
このような事情があり高額紙幣を政府は作りたがらないと私は思っています。中国の最高額の紙幣は100元札(約1,600円)なので仮に10万円の買い物をする場合でも現金であれば60枚以上の紙幣を持ち歩くことになり、日本と比較すると治安が悪く盗難の危険性もあります。店側もニセ札鑑定機での決済時の手間が省けたり、ニセ札をつかまされるリスクが無くスマホ決済を歓迎している側面が絶対にあると思います。
きっとお互いに「これでニセ札をつかまされる心配が無くなったぜ」とほっとしているでしょう。
クレジットカードの普及率が低い
中国では2002年に政府主導で国内のクレカ「銀聯カード(ユニオンペイ)」を立ち上げましたが、与信システムが確立していないこともあり審査を通るのはいわゆる富裕層であり生活水準の低い庶民や貧困層は通りません。累計発行枚数は60億枚以上といわれている「銀聯カード」のほとんどはデビット機能のみのカードと言われています。クレカ機能付きは全体の10%未満とも言われています。デビットカードは日本と同様に審査がありませんので持っていない中国人はいないと言われてます。VISA、マスターが使えない店舗はありますが、中国国内で「銀聯カード」が使えない店舗は少ないです。
このように中国独特の「現金取引のリスク」もあり中国で7億人以上が使っているスマホと金融テクノロジーの開発が見事にマッチしてスマホ決済がブレークしているのでしょう。
スマホ決済の問題点
店頭のQRコードを読み取ることによって支払をするのですが、このQRコードの違いが店側も利用者側も一目見ただけでは正規のコードなのか違いが判らないので別のQRコードを正規のコードの上に貼り付けて店から売り上げをかすめ取る強者もいるようです。
日本でお金の信用度を測るクレヒスは中国ではアリペイの「芝麻信用(ジーマ信用)」となり350~950点までのスコアがあるようです。どこで誰が何をいくら買ったとか、公共料金の支払いが滞っていないかなど現金では無いので全ての行動がビックデータとしてアリババに記録されます。中国政府から情報提供を求められればアリババは民間企業ですが拒否はできないでしょうね。大衆の監視ができるこのシステムはニセ札の流通も防げて中国当局にとって一石二鳥となりますが、私にはどうしても政府が大衆をコントロールしやすくするために構築して民衆はまんまと引っかかったとしか思えませんが・・・今までとても不便な生活を強いられていたので便利になったのでしょうが個人情報は筒抜けだし店の売上も政府に筒抜けです。
中国で生活する場合には欠かせないスマホ決済ですが、日本ではどこまで普及するかは現時点では?というのが私の意見です。セブンを始めとしてコンビニが無い場所はほとんどありません。コンビニがあればATMがありますからね。小銭が不要ということにどれだけのメリットがあるのか私には理解できません。
利用するのであれば中国式のようにデビットカード的なスマホ決済の場合は「口座に入っている金額」=「使える金額」なので使い過ぎについては問題は無いですが、キャリア決済の場合はクレカ的に先に商品を購入したりやサービスを利用できるので決済期日に清算できないとあなたの「お金の信用」にキズが付くので注意して上手に利用してください。
当たり前ですがスマホのバッテリーが切れたら財布を持っていなければ何も買えないのでご注意を!また、機種変の時に面倒ですので導入される場合はメリット、デメリットを慎重に検討してください。
大した額では無いですが筆者はEdyに残高があったのを忘れて機種変してしまいました。移行手続きが面倒なので結局楽天さんに寄付?となってしまいました・・・このような場合にはカード式のほうが煩わしい手続きもなくラクちんですね!
便利は不便かも知れないです。