第2回 短期売買やデイトレは長期投資より危険なのか?
「買ったらそのままほったらかしでもラクに儲かる」とか「今は少し足踏みしていますが、長期間持っていれば損はしませんよ」などという金融のプロの言葉が本当だとすると株価は永遠に上がり続ける必要があります。アベノミクス相場からしか知らないでバブル崩壊後20年間の相場を知らない方は特に注意して読んでください。
バブルにより本来の価値から異常に価格が上昇したのかも知れないですが、崩壊してから20年経ってもピーク時の半値である日経平均20,000円ちょっとの水準です。この原因には様々な要素があると思いますが日本経済がどんどん良くなって右肩上がりに株価も上昇するというシナリオは私は無理があると思います。
前置きが少し長くなってしまいましたが初心者向けの株の入門書には「長期投資であればローリスク」と書いてあることが多いですが、その前提には「今までのデータを見ると何十年も持ち続ければ大きな利益を得られたので、今後の将来もきっとそうに違いないだろう」という考え方に基づいていることを覚えておいて以下を読んでください。
そうですね、商売と同じで最も一般的な現物取引の場合は「安く買って高く売る」ことで利益が発生しますよね。そんなこと小学生でも判ることですよね。だけど現実はこれがとっても難しい事は理解してますか?
Question? では問題です
未来のことは誰も判らないのに、
どの銘柄をいくらで買って?いくらでいつ売ればいいのか?
これを何を根拠に判断しますか?
株の入門書を読むと株式投資は中長期の投資が基本って書いている人がほとんどです。
どの株を買っても、いつかは儲かるのでしょうか?「いつか?」って「いつ?」と思いませんか?
・1年後には資金が2倍になる
・5年後には資金が3倍になる
なんてことがほぼ確実であれば、この話に乗ってみたい気もしますが、確実に儲かる上手い話なんてこの世にあるはずがないです。
何を根拠に長期間の投資なら儲かると書いているのでしょうか?
そもそも中期って何ヶ月?長期って何年?後からいろいろな理屈をつけて解説する「後だしジャンケン」なら誰でも勝てます。でも今日買って3ヵ月後に売ればこの株はだいたい○○万円儲かりますよとか、今日買って2年後(730日後)に売れば○○万円儲かりますよと言って占いでもあるまいし当ると思います?
銘柄や貨幣価値が異なるので全く同様な比較は出来ないですが、日経平均の前身である東証ダウ平均の算出を開始したのは1950年9月7日からです。この年の終値は101.91円ですからまだ存在している会社の株であれば確かにいつ売っても利益はでますよね。ただし67年前ですので当時20歳だったとしても今年87歳という年齢です。いくつになっても、お金はあるに越したことは無いでしょうが、まだ元気にご活躍されていても87歳では使い道がかなり限定されますよね・・・まして、お金は生きている間に使わないと意味が無いと私は思います・・・
戦争が終わって世界経済も順調で日本は高度経済成長の時代でサラリーマンは年功序列、給料も必ず翌年は上がり携帯もPCも無いけれどとっても良い時代だったようです。こんな時代は少し買値より下がっていても現物株ならストロングホールド(一般的な言葉では無いですが絶対に売らないこと)していれば利益を出すことはできました。上のグラフを見ていただくと1974年に「オイル・ショック」で落ち込みましたが克服して右肩上がりのきれいな上昇トレンドのグラフですよね。
株は中期、長期の投資でという考え方はこの時代を経験している方の発想ではないでしょうか?
長期投資の考え方は上昇トレンドの場合には確かに有効だと思いますが、アベノミクス大成功でデフレ脱却できていると思いますか?私は、今が上昇トレンドと判断してそれに賭けるのはあまりにもリスクが高いと思いますが・・・